東京迂回路研究とは
近年、「多様性」という言葉のもとに、多様な人々が共に生きる社会を目指したさまざまな取り組みがおこなわれるようになりました。多様な人々が多様なままに共にあること。それには、互いのありようや、その異なりに目をむけることが不可欠です。そのとき、その異なりは、いったい何によって生まれるものなのか。また、その異なりを作り出す「境界線」は、どのように引かれ、そして引かれ直されるものなのか。このような状況にある今だからこそ、私たちは、もう一度立ち止まり、この問題について深く考え直してみる必要があるのではないでしょうか。
東京迂回路研究では、「障害、ケア、労働、住処、ジェンダーやセクシュアリティ、国籍……社会のなかにある多様な生き方と、そのひとつひとつに引かれている境界線を丁寧にみていくこと」をテーマに、社会における人々の「多様性」と「境界」に関する諸問題に、調査・研究・対話を通じてアプローチしてきました。一年目・二年目は、なかでも、‟生き抜くための技法”としての「迂回路」をさぐり、つなぐことを目的とし、事業を進めてきました。その道のりで徐々にわかりつつあるのは、「迂回路」とは、行き止まりに突き当たった人々が脇に逸れて新たに開拓する道なのではなく、日常の中における自分と他者の関係、そして自分と自分の関係が変わることで、他者との間に立ち現れてくるような道なのではないか、ということです。
三年目となる平成28年度は、「迂回路をつくる」というテーマを設定しました。私たちの手で迂回路をつくり提示するのではなく、人々がそれぞれの立場からそれぞれの迂回路を見つけ、そのあり方を共有し合うことで、そこからさらに新たな迂回路が立ち現れてくるような活動を目指していきたいと思います。
*「東京迂回路研究」は、平成28年度をもって3ヶ年の事業を終了いたしました。
■主催
東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人多様性と境界に関する対話と表現の研究所
*「東京迂回路研究」は東京アートポイント計画の一事業として運営されています。
東京アートポイント計画
東京アートポイント計画は、地域・市民が参画するアートプロジェクトを通じて東京の多様な魅力を創造・発信することを目指し、「アーツカウンシル東京」の一環として東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団が展開している事業です。
https://www.artscouncil-tokyo.jp
多様性と境界に関する対話と表現の研究所(diver-sion)
社会における人々の「多様性」と「境界」に関する諸問題に対し、調査・研究・対話を通じて“生き抜くための技法”をさぐることをめざし、2013年11月に設立した団体です。2014年6月にNPO法人化されました。
www.diver-sion.org