多様性と境界に関する対話と表現の研究所

アートカウンシル東京

【開催報告】「JOURNAL 東京迂回路研究 3」発行記念イベント:生き抜くための“迂回路”をめぐって 第1部

2017年03月20日

2017年3月17日、「JOURNAL 東京迂回路研究 3」発行記念イベント:生き抜くための“迂回路”をめぐって」を実施しました。

今回のプログラムは下記のとおり。
【第1部】ジェスチャーかるた大会 《18:00〜19:00》
【第2部】トークセッション「迂回路をつくるということ」《19:00〜21:00》

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ここでは、第1部「ジェスチャーかるた大会」について、ご報告いたします。

今年度、「もやもやフィールドワーク調査編」では、アクションリサーチの手法を参考に、障害者就労継続支援B型事業所「ハーモニー」と一緒に、「幻聴妄想かるた」を用いた新しい遊び(ワークショップ)の開発に取り組みました。
そこで生まれた、「ジェスチャーかるたゲーム」をはじめて公開で行ったのが、昨年10月に開催した「オープンラボ」。

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今回発行した、「JOURNAL 東京迂回路研究 3」では、その一連の取り組みについて、「もやもやフィールドワーク調査編:アクションリサーチの試み-ハーモニーとの協働から」という論考にまとめました。

そこで、今回の発行記念イベントでも、ジャーナルの一端を体験いただくべく、ふたたび、「ジェスチャーかるたゲーム」を行うことにしました。

昨日、第1部にご参加くださった方は10名。
最初に、研究所員であり、ワークショップ開発チームリーダーの石橋から、開発の経緯について報告。
続いて、開発の様子を記録・編集した10分ほどの映像をご覧いただきました。
さらに、デモンストレーションを行い、ゲームのルールを説明したあと、3つのチームにわかれ、ゲーム開始。

*基本ルールは、ジェスチャーをみて、符合するかるた札をとっていく、というものです。

各チーム、1名ずつファシリテーターが入り、すすめていきます。
時間は15分。時間になったところで、いちばん多くの札を取っている人が勝ち。
最後に感想を共有して、終わります。

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私たちが、このワークショップ開発において、目指したのは、「互いの経験が混じり合うような体験の共有」が起こるような仕組みをつくること。

「その人」たちと「私」がいるからこそ、生まれる、新たな体験を味わう仕組みをつくることでした。

ハーモニーの「幻聴妄想かるた」は、もともと、ハーモニーに通うメンバーの幻聴や妄想とよばれる体験から作成されたもの。
この「ジェスチャーからうたゲーム」では、その体験に、それまでなんの関わりもなかった人が、「かるた札」として出会います。
そして、その様子をジェスチャーで表してみる。
そのとき、その人は、自分のこれまでの体験を思い起こし、その様子を表現する方法を探ることになります。
また、観る人も、自分の過去の体験を思い起こし、それが何を表しているのかを探ります。
そこで、そのジェスチャーと札が結びついて理解されたとき、はい!っと札がとられ、ゲームはすすんでいきます。

また、そのときどきに、なぜ、その札をそのジェスチャーで表そうと思ったのか、といったことについてファシリテーターから質問が投げかけられます。

他者の経験を、自分の身体で表してみる。
他者の表現を、自分の経験と照らし合わせて、読み解く。
そのことについて、話す。

そうしたことを繰り返していると、なんだか自分の経験と、他の人の経験が混ざり合った、体験が立ち上ってくるのです。自分では体験したことのない、理解できないような経験も、自分のなかにあるものとつながってくる・・・。

それは、その場にいる人ー札に書かれた体験をした人も含めてー全員がいなければ、決してなされることがなかった、体験と言えるかもしれません。

そうした混ざり合いから生まれる体験をとおし、自分と他者の経験の境がゆらぐ・・・なんてことがあるのではないか。

それにより、他者との関係性が変わり、新たな光景がみえることもあるのではないか。それは、自分だけのやりかたでは行き詰まったときに、なにかヒントを与えてくれるものかもしれない。
そんなふうに、考えています。

(井尻貴子)