多様性と境界に関する対話と表現の研究所

アートカウンシル東京

オープンラボへの集中連載⑥『トークセッション “いたみ” の共有は可能か?』

2016年10月20日

東京迂回路研究「オープンラボ」、開催まであと1週間ほどとなりました。今年度最大のイベントとして行われるこの企画について、今回も、連載という形で紹介していきたいと思います。
第6回の今回は、10月30日に実施するプログラム6『トークセッション “いたみ” の共有は可能か?』について。

 

オープンラボ最終日の10月30日に開催する『トークセッション “いたみ” の共有は可能か?』。

これは、「”いたみ” の共有は可能か?」という問いについて、

またその問いに連なる、それぞれの問いについて、集まった皆様で一緒に考える企画です。

おおまかなタイムスケジュールは、下記のとおり。

13:00~13:30  オープニング: 問いの提起、ゲストトーク(てつがくカフェ@せんだいの活動紹介)
13:30~15:00  セッション1:てつがくカフェ (問い「“いたみ” の共有は可能か?」について対話する)
15:00~15:15  休憩
15:15~16:10  セッション2:サイレントダイアローグ (それぞれの問いについて紙面上で対話する)
16:10~16:30  クロージング: 感想を共有する
<終了>

*プログラムは都合により変更になる可能性があります。あらかじめご了承ください。

なぜ、このような内容にしたのか。

それは、集まった人と一緒に、問い、話し、考えたい、というシンプルな思いからです。

これまで開催してきたシンポジウムでは、登壇者の方々のお話は興味深く、きけてよかったと思うものでした。

一方で、せっかく関心をともにし、その日、そこに集まってくださった皆様とは言葉を交わすことがほとんどできずに終わってしまいます。何を思ってその発言をきいていたのか。その発言をきいて、どんなことを考えたのか。それを聞かせてもらえないのが、とても残念なことに思えました。

そこで、今回のオープンラボでは、トークセッションというかたちで、集まった皆様と一緒に、問い、話し、考える場をつくりたいと思ったのです。

セッション1は、「てつがくカフェ」という形式で対話を行います。

進行とグラフィック(対話の流れを書き留めていきます)を担当してくださるのは、てつがくカフェ@せんだいの西村さん、近田さん。

哲学とは、わたしたちが通常当たり前だと思っていること(自明なこと)からいったん身を引き離し、 「そもそもそれって何なのか」といった遡行的な問いを投げかけるところからはじまります。「てつがくカフェ@せんだい」では、 そのような問いを参加者どうしが共有し、「哲学的な対話」を とおして、自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験してもらうことを目的としています。
 他の参加者との「対話」のなかで、あらためて自分の考えに気づかされることはとても刺激的な体験だと思います。また、他人の考えにじっくりと耳を 傾ける機会の少ない私たちにとっては、このような<対話の場>を設けることそれ自体に大きな意味があるのではないでしょうか。

(てつがくカフェ@せんだい ウェブサイトより)

そう、実は、私たちは通常の生活の中では、人の考えにじっくりと耳を傾ける機会を、そう多く持ちません。

まして、仕事上の人間関係でもない、友人関係でもない人の考えを聴き、応える機会は、ほとんどないといえるのではないでしょうか。それがもしかしたら、私たちの思考や想像力を狭めてしまっているのかもしれません。

西村さんと近田さんは、2010年より、仙台でこのような対話の場「てつがくカフェ」をひらいてきました。

そして、2011年3月11日、東日本大震災後も、変わらず、ずっと開き続けています。

3f6a2925-768x512

(写真は、てつがくカフェ@せんだいfacebookページよりお借りしました)

今回のてつがくカフェの問いは、「“いたみ” の共有は可能か?」。

私たちは、それぞれに、いたみを抱えています。

このいたみを、誰かと共有することはできるのか。

あの人のいたみを、わたしは共有することができるのか。

誰かと共にあろうとするとき、こうした問いが突きつけられることがあります。

そしてこれは、避けては通れない問いのように思います。

だから、このことについて、一緒に考えたい。

 

もちろん、発言する、しないは自由です。

聴いているだけも、その存在として、参加くださっていると思います。

サイレントダイアローグでは、書くことを介し、紙面上で対話します。

ここはできれば、皆様全員に、書いていただきたいと思っています。

もし、話すこと、書くことが難しい方がいらっしゃいましたら、できるかぎりサポートいたしますので、お申し込み時にお伝えください。

この日、どんな対話が生まれるのか。楽しみにしています。

*「東京迂回路研究 オープンラボ」プログラム詳細、お申し込みはこちらへ

(井尻貴子)

★これまでの連載
①プログラム1『オープンミーティング&ワークショップ「ハーモニー」』

②プログラム2『中間報告&ワークショップ「もやもやフィールドワーク調査編:ハーモニー」』

③プログラム3『活動報告&ディスカッション「東京迂回路研究」』

④プログラム4『ワークショップ「こころのたねとして:齋藤陽道さんの写真から@東京迂回路研究」』

⑤プログラム5『スライドショー&ライブ「詩・写真・声ーここから言葉をつむぐということ」』