多様性と境界に関する対話と表現の研究所

アートカウンシル東京

オープンラボへの集中連載④『ワークショップ「こころのたねとして:齋藤陽道さんの写真から@東京迂回路研究」』

2016年10月20日

東京迂回路研究「オープンラボ」、開催まであと2週間ほどとなりました。今年度最大のイベントとして行われるこの企画について、今回も、連載という形で紹介していきたいと思います。
第4回の今回は、10月27日に実施するプログラム2『中間報告&ワークショップ「もやもやフィールドワーク調査編:ハーモニー」』について。

★これまでの連載
①プログラム1『オープンミーティング&ワークショップ「ハーモニー」』

②プログラム2『中間報告&ワークショップ「もやもやフィールドワーク調査編:ハーモニー」』

③プログラム3『活動報告&ディスカッション「東京迂回路研究」』

「こころのたねとして812r75fhfl」は、もともとは、詩人の上田假奈代さんが代表をつとめる、NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)のプロジェクトとして行われたものです。

このプロジェクトの趣旨は、他者からライフヒストリーを聞き取り、それをもとに新たに「表現」を現前させること。

挑んだのは、詩人にラッパー、美術家、地理学者に近所のおじさん・・・と、職業も関心も多様な人々。

そこで試行錯誤と議論を積み重ねるなかで生まれたひとつの手法がいまは、ワークショップとして全国各地で開催されています。

*このプロジェクトの経緯は、書籍『「こころのたねとして」~記憶と社会をつなぐアートプロジェクト』に詳しくまとめられている。とてもおもしろいプロジェクトなので、機会があればぜひお読みください。

その手順は、実にシンプル。

基本的には、下記のような流れで行います(これに、そのときどきでアレンジが加えられる)。
1.ウォーミングアップ。ストレッチをしたり、その時の気分で。
2.二人一組になって、お互いの写真について話を聞く(交代で8-10分程度ずつ)
3.聞いた内容を、詩の形にする(15-20分くらい)
4.ペアになった相手に向かって、できた詩を朗読する。

たったこれだけのこと。

でも、ここではいろいろなことが起きます。

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この夏、ココルームが運営している釜ヶ崎芸術大学・大学院2016の「詩」の講座に参加したときのこと。

このときも「こころのたねとして」の手順で、詩作を行いました。

集まったのは、男女あわせて10数名。年齢も、国籍も、住んでいるところも、おそらく職業も、ばらばら。

その参加者たちが、2人一組になり、お互いの話をききあいます。

私はペアになった方の話を聞いているとき、ああ、ふつうの生活のなかでは、この人の話を聞くことなんて、きっとずっとなかったかもしれないな、とふと思いました。いま、その人の話を聞いているということ。それは、とても自然で、とても特別なことのように思えました。

はじめて出会った人の、言葉に耳を傾ける。一瞬だけ、その人の人生に触れる。

それを、詩のかたちにする。自分の人生と、交差するような、そんな瞬間を発見したような、気持ちになる。

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今回、オープンラボのテーマを<「多様な人が共にある」ために言葉を交わし、言葉をつむぐ、5日間>と決めたとき、まず思い浮かんだのが、この「こころのたねとして」でした。

さきに述べた感想。これはあくまで、私の感想にすぎませんが、このワークショップには、この2つのこと−−「言葉を交わすこと」、「言葉をつむぐこと」が凝縮されているように思います。

だから、オープンラボでは、ぜひ、参加者の方々に、このことを体感してほしいと思います。

そこでどんな物語が語られるか。引き出されるか。

どんな言葉が交わされるか。つむがれるか。

それは、私にもわかりません。

だからこそ、体験してほしいと思います。

出会ってほしいと思います。

こころのたねに。

ココルームの上田假奈代さんに。

齋藤陽道さんの写真に。

当日、参加してくださるみなさんに。

まだ語られていない言葉に。

その言葉に触発され、顔をのぞかせる、あなたの物語に。

 

2003年、大阪市の現代芸術拠点形成事業「新世界アーツパーク事業」に参画。浪速区フェスティバルゲートで活動を開始したココルーム。その後、突然の「新世界アーツパーク事業」中止という出来事を経て、釜ヶ崎の商店街のなかに喫茶店「インフォショップカフェ ココルーム」として拠点をかまえ、向かいには「カマン!メディアセンター」を開設。今年4月には、同じ商店街のなかで場所を移し、なんと「ゲストハウスとカフェと庭 ココルーム」として、新たな事業を開始しました。

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「今年地域に根ざしながら、さまざまな人々と出会い、社会に関わり、表現と学びあいの場づくりを行う」。(ココルームウェブサイトより)

もちろん、今回のワークショップにもですが、風抜けるその場所、緑茂る庭とカフェ、ゲストハウスにも、ぜひ、足を運んでほしいと思っています。

*「東京迂回路研究 オープンラボ」プログラム詳細、お申し込みはこちらへ

(井尻貴子)