多様性と境界に関する対話と表現の研究所

アートカウンシル東京

オープンラボへの集中連載②『中間報告&ワークショップ「もやもやフィールドワーク調査編:ハーモニー」』

2016年10月15日

東京迂回路研究「オープンラボ」、開催まであと2週間ほどとなりました。今年度最大のイベントとして行われるこの企画について、今回も、連載という形で紹介していきたいと思います。
第2回の今回は、10月27日に実施するプログラム2『中間報告&ワークショップ「もやもやフィールドワーク調査編:ハーモニー」』について。

★これまでの連載
①プログラム1『オープンミーティング&ワークショップ「ハーモニー」』

「もやもやフィールドワーク」は、「東京迂回路研究」で平成26年度より取り組んでいることのひとつ。

東京都および国内各地の、医療・福祉施設、当事者団体、ケアに関わる団体等を訪問し、活動の参与観察や関係者への聞き取りを行う「調査編」と、その調査で得られた見解や視点を参加者と共有し、ともに話し合い考える「報告と対話編」からなる 研究プロジェクトです。調査・報告・対話・分析のサイクルを通じ、さまざまな場を捉え直すことを試みています。

3年目となる今年、「調査編」では、複数の調査先に足を運ぶことに重点をおいていた2年間を経て、1つの調査先:東京・世田谷区の就労継続支援B型事業所「ハーモニー」を長期・継続的に訪れることを計画しました。

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また、単に研究所メンバーが調査者として、一方向的に調査先を調査するのではなく、調査先の方々と協働してすすめるような調査研究事業のありかたを模索しました。

そこで、その現場における課題の発見からその解決策を考えるところまでを一緒にすすめるという方法をとることにしました。

さらに、多様な視点からの意見を取り入れながらすすめるために、研究所外部からもメンバーを迎え、チームを組むことも、新たに試みました。

そこから紆余曲折を経て、最終的に、この調査研究事業で取り組むこととしたテーマは、は、<「一方通行でも単に双方向でもない他者との体験の交換・混交」を起こすにはどうしたらよいのか>。

これを、ハーモニーの「幻聴妄想かるた」を用いた新たな遊び方をワークショップ手法として開発することで、実現することを試みてきました。

それには、障害をはじめとする問題を抱えた当事者の体験は、社会の中で抑圧され、無化されてしまうことが多いのではないかという課題(問題意識)があります。

もちろんそのことをふまえ、これまでも、そうした体験をコミュニティ内外に共有することを目的とした、さまざまな試みはおこなわれてきています。

例えば、「浦河べてるの家」では、障害者がコミュニティの外部に向けて自らの権利を主張する「当事者運動」を背景の一つとしながら、障害や問題を抱える当事者が自らの問題に向き合い、仲間と共に「研究」する「当事者研究」という実践がおこなわれており、その試みは全国的な広がりを見せていいます。

また、アートの手法を用いた試みも広範囲で行われており、「アウトサイダー・アート」や「アール・ブリュット」の受容を背景としつつ、障害者/健常者の垣根を超えた協働による作品制作が盛んにおこなわれています。

これらの試みにおける体験の共有は、障害者の体験を社会に知らしめるという一方通行の形をとるものもあれば、互いの体験が共有され合うような双方向的な形をとるものもあります。

しかし、他者と互いの体験が交換され、それらが混ざり合うような共有がなされている実践は今までに少ないといえるのではないでしょうか?

 

約半年。ワークショップ開発チームで、試行錯誤を重ねながら、なんとか、かたちになってきたワークショップ。

当日はその開発過程についてご報告いたします。

また、みなさまにワークショップに参加していただき、ぜひフィードバックもしていただきたいと思っています。

誰かの体験を、体験することはできるのか?

あるいは、

あなたなら、このかるたでどう遊ぶか?

そんなことも、考えるきっかけとなれば嬉しいです。

*「東京迂回路研究 オープンラボ」プログラム詳細、お申し込みはこちらへ

(井尻貴子)