多様性と境界に関する対話と表現の研究所

アートカウンシル東京

【開催報告】「現場から言葉をつむぐ ゼミナール」第3回

2016年07月05日

7月1日に、「現場から言葉をつむぐ ゼミナール」の第3回を実施しました。

今回のテーマは<広げ深める言葉を見つける>。
以下の流れですすめました。
1)課題発表(「だれに」伝えるか。「だれに」を考えて、問いのかたちが変わった人は、新しい問いも合わせて発表。)
2)レクチャー
3)ワーク1(言葉を書き出す。短い語句で。考えずに、どんどん書く)
4)ワーク2 (1で出した単語をグループ化し、グループに名前をつける)
5)グループワーク(1、2のワークを見せ合い、お互いにコメントする)
6)質問タイム
<修了>

最初に課題発表。

DSC02505 (1)

「だれに」伝えるか。「だれに」を考えて、問いのかたちが変わった人は、新しい問いも合わせて発表しました。

「だれに、なにを、なぜ伝えるのか」がはっきりすれば書けると講師の梶谷さん。
何かを書こうとするとき、この観点からチェクし、どこがはっきりしていないかを見定め、改善していくことが、必要になります。
自分がぼんやりと考えていることを、はっきりさせていく作業。その過程で、普段、”なんとなく”書いてしまっていることに気付かされます。そのことに気付かされると、これまでのようには書けなくなることもある。だから、その意味で、「文章がかけなくなる」かもしれないとも言います。でも、自分のなにがよくないかがわからないと、よくなる可能性はありません。だから、よくない点に気付くところからはじめることが必要になるともいえるでしょう。

この「だれに、なにを、なぜ伝えるのか」を「具体的に考えること」が、意外とできていないのです。
たとえば、今回の課題発表、「だれに伝えるのか」についての、研究員の答えは、「ワークショップに参加してくれる人」。
でも、それってどんな人?と聞かれると、言葉につまってしまう。つまり、具体的な「こういう人」というのが、実は想定できていないということに気づきます。
年齢は?性別は?住んでいるところは?どんなことに関心がある?
そうしたことを具体的に想定すると、どのような言葉を使うのか、選ぶことができるようになるんですね。

レクチャーでは、書くために考えないといけないことのうち「なにを」と「なぜ」についてお話しいただき ました。
「なぜ」も、具体的に考えていくことが重要になります。それを「なぜ」「なんのために」伝えるのか。最終的な目標、着地点はどこなのか。つまり、その文章を、読んだ人に、どうしてほしいのか。
たとえば、「イベントのことを伝えたい」といっても、そのイベントのことを、知ってほしいのか。そのイベントに来てほしいのか。あるいは、そのイベントが賛同している地球温暖化防止運動に参加してほしいのか。
それにより、伝えることも変わってきます。

DSC02509 (1)

そうした「具体的に考えていく」ことに慣れるために、今日のワークでは、<広げ深める言葉をみつける>ことに挑戦しました。
見つけるための問いは、
・ なぜ?(理由・経緯)
・ たとえば?(具体化)
・ 何でないか?(具体化)
・ 何のために?(目的)
・ 他に何か?(展開)
・ つまり?(要約)
これらを、できるだけ、単語や短い語句で、紙に書き出していきます。作業時間は15分ほど。
次に、書き出した言葉をみつめ、グループになるものをまとめていきます。ひとつのものがいくつかのグループにまたがってもOKです。
さらに、各グループに、(できるだけ簡潔に)名前をつけます。
ここまでが、一人でのワーク。
このあと、グループワークの時間をとり、それぞれ紙を見せ合い、お互いにコメントしました。
最後に、質問タイム。作業してみて出てきた疑問点について話しあいました。

第3回を終えて、受講者の方からは、「集中する時間をとって、順序を踏んで考えれば、徐々に明確になることは、自信にもなるなと思いました」という感想もいただきました。

次回への課題は、ホワイトボードのような、図を作成してくること(下記の3つを行ってくること)。
1) グループのなかから、いちばん大きなテーマを1つ選ぶ
2) それに対する3つのポイント(中テーマ)を決める。
3) なぜこの3つなのかという理由も説明できるようにしておく。

DSC02522 (1)

次回も、楽しみです。

(井尻貴子)