多様性と境界に関する対話と表現の研究所

アートカウンシル東京

【週報】「Living Together のど自慢」コメンテーター、そしてGOMESSさんと打ち合わせ

2015年07月07日

代表の長津です。

7月5日(日)に「Living Together のど自慢」というイベントでコメンテーターをしてきました。

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昨年度に「もやもやフィールドワーク 調査編」でcommunity center aktaにお伺いしたり、「トークシリーズ『迂回路をさぐる』」でアキラ・ザ・ハスラーさんにきて頂いたりして、出会ってきた「Living Together」という言葉。その言葉が表していることが、いつのまにかこの「東京迂回路研究」で見いだそうとしていることについて、ある重要な部分のキーワードであることがわかってきました。「もうすでにともに生きている」。その言葉が持つ強さ、そのことを前提にして歩む社会について、じっくり考えて行かなくてはならないと思っています。

「Living Together」という名前を掲げて行われているこのプロジェクトは、HIV/AIDS予防啓発として行われていて、新宿二丁目を中心に、継続的にさまざまな形でイベントを開催しています。 そのコンセプトの核にあるのは、当然、HIV/AIDS陽性者の存在。だがこのイベントでは、彼ら/彼女らが表に出て体験を発表するのではなく、その手記を他者が朗読することで、思いが他者化され、さらに異なる生と響き合い、かすかな共鳴が起こるような時間かなと思っていました。

ですが、このイベントは、そんなかすかな共鳴を体感したあとに、手記を朗読した人が、なんの脈絡もない歌を熱唱するというカラオケ大会でもあります。え。
しかもそれにぼくはコメンテーターとして招いていただいているので、どうやらコメントをするらしい。まさか歌の善し悪しについてじゃないだろうし(そしてまさかの音大卒……)、イメージは完全に阿久悠先生とかキダ・タロー先生……? いったい何を話せば……と思いながら、はりきって伺いました。

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こんな席が用意されてたりしました。マラカス…。

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ステージはこんな感じです。大きな横断幕が掲げてあります。

出演されていた5組の方は、いずれも非常に強い思いで朗読する作品を選び、各々のやり方で朗読し、感想を話していました。ときには自らの思いとのつながりを強く託すあまりに涙ぐみ、言葉に詰まる人も。誰かの物語がみんなの物語になる、いや、すでにみんなの物語である、ということを改めて知る瞬間でした。「ぼくらはもう、いっしょに生きている」という言葉は、確かに何度でも胸に刺さるな、と改めて感じました。

そんなじーんとした時間をぶったぎるように、淡々と司会のマダムボンジュール・ジャンジさんが促し、

おもむろに、カラオケ、熱唱。

いや、みなさんうまいんです。本当に。でも!

ぼくのコメントといえば、「途中でマイクが入らなくなっても熱唱する姿がまるで紅白歌合戦の和田アキ子のよう」「よく通る声ですね。ラジオ深夜便のような」「うちの近所のスナックから流れてくるので聞いたことがありましたがようやく曲がわかりました」などといったどうでも良いことしか言えず。まあ、それだけじゃアレだな、と、多少真面目なことも付け加えたりしましたが、雰囲気に圧倒されて全然うまく言えず…。またとない経験をさせていただいたなと思いました。


そんなイベントをコーディネートしている、通称「新宿二丁目の公民館」community center aktaさんに、事前にごあいさつも兼ね、のど自慢の数日前には、打ち合わせにも行ってきました。

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aktaの前で記念撮影。となりでネクターの缶をくわえているのは…ラッパーのGOMESSさん。打ち合わせ後の一枚です。

プロフィール(公式ウェブサイトより)
1994年生まれ、静岡出身。「BAZOOKA!!! 第二回高校生ラップ選手権」に出場し準優勝を勝ち取る。以降、自閉症と共に生きるラッパーとして注目され、Youtubeにアップされた楽曲「人間失格」で脚光を浴びる。2013年には「ポエトリーフェス」「B-BOY PARK」に出演。2014年には般若のツアーファイナルでSHIBUYA-AXに出演するなど、ライブも勢力的に活動。般若「倍ヤバイ Remix (配信シングル)」、daoko「GRAVITY」、COASARU「変身」、DJ6月「バッテンウルフ」の客演を務め、DARTHREIDER & HIDADDY監修による「HIGH SCHOOL HIGH」、SEEDA & DJ ISSO「CONCRETE GREEN THE CHICAGO ALLIANCE」など注目を集めるオムニバスなどにも楽曲が収録されている。ラップの中に存在する記憶と感情、スキルフルなフリースタイルと主張、ラップと出会えた彼の彼らしい生き様が此処にある。

東京迂回路研究、最近思わせぶりな打ち合わせ報告ばっかりだなーと思われるかもしれません。そろそろです。大きな発表、間近です。乞うご期待!